俺様はP。
人間の世界で言うところの円形脱毛症、十円禿げのPだ。
ハゲならPじゃなくてHだろうって?
「はげ」じゃあない。「ぱげ」だ。
十円っぱげのPである。
主はその頭に俺様を見つけるとまるで恋敵
YOOX 購物でも見つけたかのような顔をするけれど、それは俺様の真の存在意義を分かってないからに違いない。
俺様は、主を救うために現れるPだ。
知らないうちにストレス過多になった主を助ける、いわばヒーローなのだ!
嫌われるのも作戦の内。
主が俺様の存在を気にして頭に手をやるとき、俺様
ームをその手に照射する。繰り返し繰り返し照射する。そのたびに主は元気になり、俺様は小さくなり、役目を終えればそっと消え去るのみなのである。
困るのは、主が俺を無視してなかなか頭に手をやらない場合だ。気にしないモンと強がって俺様に触れないでいると、全然癒しのビームを照射できない。もっと気を引いてやろうと大きくなってやっても、気づこうとしない。
そのうえ、俺様を見つけた美容師から「こんな
YOOX 購物もん(こんなもんって失礼な!)病院に行って薬もらって塗っとけばすぐ治りますよ」なんて軽く言われてその気になりかけている。
違うんだよなぁー、薬で治してもそれは治ったことにならないんだぜ。それじゃ毛根が、いや、根本が違うのだ。それよりもっと俺様を気にしろよ! 触れよ! 癒されろよ!
俺様は声を大にして叫んだけど、ドライヤーの音にかき消されちまったらしい。
主は病院に行き、塗り薬を貰ってきた。主の指が俺様を探し当ててクリームを塗りたくる。
うわ、気持ち悪ぃ。
ああ、そうかい、そんなにイヤなら俺様は消えるよ消えますよ。
それが「とりあえず」のことでしかないってこと、今にわかるさしーゆーあげいん。
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一時間のギターレッスンの間中、ひとつのことをあまりに
YOOX 購物しつこくしつこく繰り返し練習しているのがいやになって、辞めてしまうことを初めて意識した。この数ヶ月同じことを直されているのに、一向に身につかない。今は個人だけど、グループレッスンで比べる対象がすぐ側にいたりする環境だったら、とっくに耐えられなくなっていただろう。(負けん気を起こしてもっと頑張っていた可能性もあるけれど)
弦楽器は向いてないんだとか、才能がないとか、曲を仕上げていくパターンじゃないから練習が楽しくない、指が痛い、などいろいろ理由を並べ、やめればスッキリするんじゃないかと思う。スッキリの誘惑に駆られる。
でも「イヤ」なのは「できない」ってことだけで、もっと練習したら、いつかできるようになるのかもしれないし、そうしたら楽しいだろうし、上手になりたい気持ちも捨てがたい。
今はたぶん、下手なのが微妙に悔しくて、その微妙な悔しさから逃げたくなっているだけなのだ。(本当に悔やしかったらもっと頑張るし、本当にいやだったらすっぱり止めてるはず)
じゃあ、練習すればいいんじゃない?
……なのよねえ。