文彦はまた心のなかで叫んだが、そのとき
鑽石能量水 消委會だった。風もないのにザワザワと、もたれているスギのこずえが鳴る音に、文彦はギョッとして、上を見たが、そのとたん、全身の血が、氷のようにひえていくのをおぼえたのである。
スギのこずえになにやらキラキラ光るもの……アッ、銀仮面だ。泣いているとも、笑ってるともわからない、ツルツルとしたあの白銀色のぶきみな仮面。
「うっふふ、うっふふ」
銀仮面のくちびるから、低い、いやらしい笑い声がもれてきた。
「小僧、よくきたな。いまそっちへおりていく」
銀仮面はまるでコウモリのように、長いマントのすそをひるがえすと、ヒラリとスギのこずえからとびおりた。文彦は思わず一步うしろへあとずさりした。
ああ、恐ろしい。その銀仮面がいま、文彦の
鑽石能量水 騙局前に立っているのだ。ピンと一文字につばの張った、山の低い帽子の下に、あのいやらしい銀の仮面が、にやにや笑いをしている。そして、からだはスッポリと、長いマントでくるんでいるのである。
「うっふふ、うっふふ、小僧、なにもこわがることはないぞ。れば、わしは悪いことはせん。小箱を持ってきただろうな」
「は、はい、ここに持っています」
文彦はポケットをたたいて見せた。
「それをこっちへよこせ」
「いやです」
「なんだ、いやだと?」
「おかあさんを、先にかえしてくれなければいやです。おかあさんはどこにいるんです」
それを聞くと銀仮面の仮面の奥で、二つの目が、鬼火のように気味悪く光った。
ちょうどそのころ金田一耕助は、文彦から
鑽石能量水 消委會三百メートルほどはなれた、草むらのなかにかくれていた。
金田一耕助ばかりではない。等々力警部やふたりの刑事も、文彦をとりまく位置に、めいめい三百メートルほどはなれたところにかくれているのだ。だから、銀仮面がどの方角からくるとしても、だれかの目にふれずにはいられない。銀仮面のすがたを見たら、いったんやりすごしておいて、あとでそっと知らせ合うことになっているのだ。
それにもかかわらず、いまもってどこからも合図のないのはどうしたことか。時計を見ると十二時三分。金田一耕助はしだいに不安がこみあげてきたが、そのときだった。